映画:セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記

見てきました。公開3日目にしてパンフレットは売り切れていました。入場者はスクリーンキャパに対して15%くらいなのに。

ライダー50年、戦隊45作というエポックにふさわしいストーリーでした。これは今季ライダーが職業小説家という設定が非常に生きています。

ライダーと戦隊の世界が混ざり合うというのは、過去にもよくあったと思います。が、今回はライダーの変身アイテムが本ということもあって、すべてのライダーと戦隊の物語が「禁書」として保存されているというところから話が始まります。その禁書庫を守護するものが裏切り、すべての物語を混ぜ合わせて混沌を招き、謎の少年しょうたろうくん(演者鈴木福くん)が現れて・・・

このお話、主人公はセイバーでもゼンカイジャーでもなく、石ノ森章太郎先生です。

しょうたろうくん=先生であり、敵は若き日の先生にたくさんのヒーローを見せて、正義とは、戦いの正当性とはという疑念を抱かせて、創作の意欲を削ぎ、「戦争や人殺しが悪なら、戦うヒーローは正義じゃない」と思わせることが目的でした。その結果世界からヒーローはいなくなり、悪がやりたい放題の世界にしようとしていました。

一度はその策略に嵌り、戦いのない、あの事件もなかった平和な物語に取り込まれた飛羽真ですが、安寧とせず、しょうたろうくんを探し出し、ヒーローを書いてくれと依頼。

「ヒーローなんて、戦ってばかりで、そんなの正義じゃない。悪じゃないか」

「そうさ、正義でもあり、悪でもある。それって人間そのものじゃないか」

このセリフでぐっと来ました。ライダーはショッカーの改造人間でした。悪に与えられた力を使って人間を守るヒーローでした。石ノ森先生の人間讃歌を見た気がします。

そして、ヒーローがいなくなった世界に、再びヒーローが創られます。しょうたろうくんが仮面ライダー1号と秘密戦隊ゴレンジャーのイラストを掲げると、サイクロンの爆音が轟き、旧1号とアカレンジャーが登場。

「たった2人でどうするつもりだ?」と嘲る敵を前に、50年の歴史と45作品のシリーズの重みを見せつけます。すべてのライダーとすべての戦隊のレッドが登場。一度やられた敵が巨大化するのはお約束。そこから全戦隊のメカも登場し、(中略)大団円となります。

そして、変身を解いた1号本郷猛(藤岡弘。さん)が「石ノ森先生!」としょうたろうくんに呼びかけます。「また会えるとは」と。

しょうたろうくんはすべてを悟り、「ああ、ぼくは死ぬんだね」といいます。これは、藤岡さんがインタビューで言っていた「仮面ライダーはいつ死ぬんですか」に対する石ノ森先生の答え「ライダーはね、ずーっと死なないんだよ」という逸話に対応するセリフでしょう。

飛羽真や介人に対しても「君たちは、僕が死んだあとに生まれたんだね」と。「ありがとう、ずっとヒーローが続いてくれて」と。

ライダー、戦隊が全部出てきたことなんて吹っ飛んでしまうほど、ここのほんの5分くらいのやり取りが、この映画のすべてだったと思います。

いいお話でした。

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